「なんでもない言葉を大切にしたい」コピーライターひゃくいち氏に聞く、「いいオフィス」企業理念づくりプロジェクトの裏側

2021.08.18
「なんでもない言葉を大切にしたい」コピーライターひゃくいち氏に聞く、「いいオフィス」企業理念づくりプロジェクトの裏側のアイキャッチ

こんにちは、いいオフィス広報部のちゃんれみです。

Web制作会社「LIG」のコワーキング事業からはじまり、2021年8月時点で全国47都道府県進出&500店舗達成をし、店舗数日本一のコワーキングスペースとなった「いいオフィス」。
2032年までに世界10万店舗出店を目指していますが、10万店舗は通過点に過ぎず、コワーキングスペース事業に留まらず展開していきます。

▼「いいオフィス」の事業展開についてはこちら
https://e-office.inc/about/

そうした「いいオフィス」の目指す世界観を言語化すべく、2021年2月に理念を策定。生まれた理念は「どこでもいい世界」という言葉でした。

今回は、理念づくりに携わっていただいたコピーライターの田辺ひゃくいちさんにインタビュー。元LIGのメンバーでもあるひゃくいちさんの人生観にも触れつつ、コピーライターとしてどのように今回の理念づくりプロジェクトを進めていったのか、またコピーライターとして大切にしている考え方含め、実際の提案書を交えながらご紹介いたします。

 

宣伝会議賞グランプリ受賞による一番の変化は「名前」だった。コピーライターひゃくいちさんとは


―― LIG在籍中にひゃくいちさんが書かれていた「昨日、妻と。」シリーズが大好きでした。あらためて、ひゃくいちさんのことを知らない方向けに、自己紹介をお願いしてもいいですか?
どうしても自己紹介が苦手なので、いつも使っているプロフィール文をぜひご参照いただければと。冒頭から大変申し訳ございません。

慶應義塾大学環境情報学部卒業後、アダルト会社や某中国法人支社長など10年で10職以上を流転したのち、第52回宣伝会議賞グランプリを受賞。もうすこし生きてみることに。東京の制作会社「LIG」や大阪の制作会社「人間」を経て「ー」として独立。足立区生まれ足立区育ち。小平市在住。偽名。

―― LIG在籍中、第52回 宣伝会議賞グランプリを受賞されましたが、それを機に人生は大きく変わりましたか?
変わったといえば「名前」が「偽名」に変わりました。本名から現在の「田辺ひゃくいち」に。当時は本名で検索すると宣伝会議賞グランプリ関連の記事ばかり出てきてしまって。それがどうもイヤで名前を変えてみました。周りからは「絶対にもったいないから変えないほうがいい」と言われていたのに。なんでそんなことをしてしまったんだろう。自分でもよくわかりません。

田辺ひゃくいちさん

―― 現在は「一」(ぼう)として独立されたとのことですが、「一」とはなんですか?
なんでしょうね。読みづらい屋号ですし。困っています。なぜか「なんでもないただの棒みたくなりたい」と思ったんです。最初は「棒」にしようかなとも考えたのですが、ただの棒のくせに画数が無駄に多い気がして気持ち悪くて。もっとなんでもなく漢数字の「一」を使って「ぼう」と読ませることにしました。もっと気持ち悪くなってしまったかもしれません。

でも、おかげさまで「一」も4年目に入りまして。コピーライティングの中でも特に「コンセプター」という立ち位置で、企業や商品・サービスなどの課題を解決する方向性を「コンセプト」として言語化するところからお手伝いさせていただくことが多いです。自分は方向性のない人生を送っているくせに。

 

なぜ自分たちが壮大なビジョンを実現できるのか。ひとことで伝わる言葉を目指して

―― 今回、いいオフィスの理念づくりにご協力いただきましたが、あらためてどういった経緯でプロジェクトに参加いただけることになったのでしょうか?

元同僚でもあった、いいオフィスメンバーのマチルダさんに紹介してもらったことがきっかけでした。

ただ、理念づくりとなれば、いいオフィス代表の龍﨑さんとプロジェクトを進めることになるわけじゃないですか。実はLIGに在籍していたときから龍﨑さんに対しては恐ろしいイメージがありまして。直接話したことはほとんどないんですけどね。なんでだろう。別に見た目で判断しているわけではないのですが。正直、最初は「やっぱりやめておこうかな」と思っていました。ほんとに見た目で判断しているわけではないのですが。

※一番手前がいいオフィス代表 龍﨑コウ

ただ、絶対に嘘をつきそうにないマチルダさんが「龍﨑さんは優しい人なんですよ」と嘘みたいなことを言うので、その言葉を信じてお手伝いさせていただくことにしました。

最初のキックオフで龍﨑さんからはフィリピンのスラム街で暮らす子どもたちの姿を目の当たりにした原体験とともに「世界同一職種同一賃金を実現したい」との想いをお聞かせいただきました。いわゆる「世界平和」を目指したいんだと。どちらかといえば世界を征服しそうなイメージだったので意外でした。実現するための具体的な事業ビジョンも明確で聞こえのいいことを言っているわけでもなさそう。「もしかしたら龍﨑さんはいい人なのかもしれない」と思うようになっていきました。正確にいえば「仮にいい人ではなかったとしても実現すべき魅力的な事業ビジョンだな」と共感しました。

ただ、「世界同一職種同一賃金」といった言葉のままだとやっぱりまだすこしかたい。龍﨑さんの恐ろしい雰囲気が拭えないんですよね。それは損をしているなと。子どもにも泣かせてしまうことなく伝えられるような “やわらかさ” が必要だと考えました。

―― 最終的に理念である「どこでもいい世界」という言葉は、どういったところから着想を得られたのでしょうか?
そもそも「いいオフィスが目指す世界観を言語化したい」というご相談だったわけですが、龍﨑さんの中ではすでに十分に言語化されていました。わざわざお手伝いする必要があるのかなと思うほどに。

ただ、いいオフィスに携わるメンバーの方々にお話を伺うと、いいオフィスの目指す壮大なビジョンに共感できてはいるものの「目の前の事業がなぜその壮大なビジョンの実現に繋がるのか」というブリッジになる言葉がまだないと気づきました。

※実際の提案資料より抜粋

実際、いいオフィスには下記のとおり「4つのフェーズ」にわけた事業ビジョンがしっかりと緻密に練られています。

いいオフィス ABOUTページより

ただ、最後まで龍﨑さんの話を聞けば「なるほどな」と思えるのですが、それではどうしても伝わるまでの時間が遅くなってしまう。龍﨑さんから話を聞いた人しか全体像を理解できないとの課題感もありました。これから一緒に働くメンバーや投資家の方々など、すべての人たちに龍﨑さんが直接説明するというのも現実的ではありません。いいオフィスが目指す世界観を「ひとこと」でわかりやすく表現できるような言葉が必要でした。

そこでヒアリングを重ねていったのですが、龍﨑さんが最後の最後に「つまり、個人を場所から解放したいんだよね」とおっしゃいまして。「あ、これだな」と感じたんです。

※実際の提案資料より抜粋

あとはこの「個人を場所から解放する」という言葉をもっと伝わりやすいスローガンにするだけですね。考えるときのスタイルとしては思いついた言葉を罫線のない白地のノートにひたすら書きなぐるのですが、あるときに「どこでもいい」という言葉が手元にポッとあらわれまして。ああ、なるほど。「個人を場所から解放する」って、つまり「どこでもいい世界をつくる」ということだなと。こうして「どこでもいい世界」という理念が生まれました。

※実際の提案資料より抜粋

 

「お題と課題は違う」ひゃくいちさんのコピーライティングの進め方

―― 「どこでもいい世界」という理念について、あらためてご説明をお願いできますか?
「個人を場所から解放する」と言っているくらいなので理念も縛りすぎないことが大切だと思いました。それが「いいオフィス」の “いい” という抽象的な言葉をあえてそのまま使った背景でもあります。

企業理念のメッセージも含めた詳しいロジック構成については下記をご参照いただければわかりやすいかと思います。

※実際の提案資料より抜粋

子どもでも理解しやすいようにやわらかいひらがなをすこし多めに使い、できるだけ平易な言葉で書くように意識しました。

―― こうした理念づくりのプロジェクトにおいて、ひゃくいちさんが大切にしている考え方やアプローチは何かありますか?

すみません。2つしかないです。

1つは「お題」と「課題」はちがうということです。あたりまえの話で恐縮ですが。寓話の『北風と太陽』で唐突にたとえると「旅人の上着を脱がせたい」は「お題」です。これを「課題」と取りちがえると北風のように力づくで風を吹きつけて失敗してしまいます。

このときに「そもそも、どうして脱がないの?」といったん問いかけてみることが大切です。すると「寒いから脱ぎたくない」​​との言うまでもないことなのになぜか見逃していた事実に気づきます。実はこれが「課題」です。こうして太陽のように燦々と照りつける解決策が見えてきます。たとえば、この課題を解決する方向性をコンセプトとして言語化すれば「脱がせるから脱ぎたいへ」とかになるのかもしれません。ありきたりですが。

コピーライティングのプロジェクトでも、はじめにクライアントから「これが課題でして」とよく相談されます。でも、話を聞いてみると「課題」ではなく「お題」であることが本当に多いんですよね。最初に取りちがえてしまうとプロジェクトが最後まで見当ちがいの方向へ進んでしまうので注意しなければいけません。

今回のプロジェクトも「いいオフィスが目指す世界観を言語化したい」というご相談に対して龍﨑さんの「世界同一職種同一賃金」という言葉をそのまま鵜呑みにしていきなり言語化しようとしていたら失敗していたでしょう。「そもそも、どうして言語化しなければいけないのか」「本当にコピーライターなんて必要なのだろうか」と性格の悪いスタンスで疑い深く考えることがカギになると思います。

もう1つが、なんでもないところに落ちている言葉を大切にしたいと思っています。屋号をなんでもないただの「一」にした理由でもありますが「なんでもないところに潜んでいる言葉こそが、なによりも新しい価値をいつまでも無理なく生みつづける」というスタンスなんです。今回の「どこでもいい世界」という理念に「いいオフィス」の「いい」という言葉を残しているのもそうですね。

コピーライターはなにもゼロから自分で言葉を考えているわけではありません。私の場合ではありますが、ほとんどが実はクライアントがなにげなく発した断片的な言葉が発想のベースになっています。

たとえば、企業理念づくりなどのプロジェクトで、会社の方向性をうまく言語化できずに悩んでいる経営者の方にヒアリングをしていると、自分で答えを言っちゃっているケースもよくあります。「え、それが理念じゃないですか」って。決して少なくないご予算をかけてご依頼いただいているのにいいのかなとも思うんですが「ああ、ほんとだ」ととても喜んでいただけたりして。自分では意外と気づけないみたいですね。先ほどの『北風と太陽』で「寒いから脱ぎたくない」​​という単純な事実を見逃してしまうみたいに。

だからこそ、なんでもないところを掘りさげて言葉を見つけてあげる。第三者だからこそできる役割が私なりのコピーライターのあり方だと思っています。いわゆる「部外者」であることを前向きに活かすイメージです。すこし寂しいときもありますが。

―― ひゃくいちさんの納品書には、理念やメッセージにロジックがあり、とてもしっくりきました。納品書にこだわる理由は何かあったりするのでしょうか?

納品書というと大それたイメージもあるかもしれませんが、提案書を整えてそのまま納品書にしています。そのほうが社内にも共有しやすいかなと思いまして。

だからこそ、提案書はプロジェクトに関わっていない人にもわかりやすいように書くことを意識しています。「なんでその言葉なのか」についても一つひとつ納得できるように背景にあるロジックまでをできるだけ丁寧に説明します。

もしかしたら、提案書の言葉は企業理念やメッセージと同じくらい、下手をすればそれ以上にこだわっているかもしれません。

 

10年で10回以上の転職。人生は環境で変わらないからこそ、働く場所はどこでもいいと思った

―― あらためて今回のプロジェクトを振り返ってみて、ひゃくいちさんにとってはどんなプロジェクトでしたか?
今回は理念の他に事業ビジョンや代表メッセージも書かせていただきました。龍﨑さんは「なぜこの言葉なのか」と一つひとつの言葉にこだわりがある人だったのでとてもやりがいがあって楽しかったです。

―― ひゃくいちさんは中国へ行ったり、東京から大阪へ移住されたりと、働く場所に対して柔軟であるように見受けられますが、あらためて「働く場所」についてどうお考えですか?
まさに「どこでもいい」と思っています。

たしか28歳ぐらいのときに人生のどん底にいまして。まあ、今もたいして変わりませんが。自分がいちばん行きそうにない国へ行けば人生が変わるかもしれないと中国へ渡ってみたんです。ちなみに転職も10年で10回以上しています。

でも結局、働く場所や仕事がどんなに変わっても、人間関係や組織体制における自分のスタンスはまったく変わらず、同じような結末が毎回のように起きるんですよね。「ああ、働く場所が変わっても人生は変わらないんだな」とようやく気づいて独立することにしました。

結局、人生なんて自分のせいなんだと思います。環境のせいにしていてもしょうがない。だからこそ、働く場所もどこでもいいんじゃないかなと思っています。

―― 最後に、ひゃくいちさん自身の展望を教えて下さい!
方向性を言語化する仕事をしているくせに大変申し訳ないですが、自分の方向性はよくわかりません。とりあえず「コピーライター」という場所に縛られたくないとは思っています。コピーライターだからといってコピーライターっぽくしているのもつまらないので。なんでもないただの「一」でありたいと思っています。できるだけ。

コピーライターのひゃくいちさん、インタビューのご協力ありがとうございました!
ひゃくいちさんに制作いただいた理念や代表挨拶は「ABOUTページ」でご覧いただけます。ぜひこの機会に「いいオフィス」について知っていただけると嬉しいです。

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